その日私は少し早い目に家をでたはずだったのにもかかわらず、
会場に着いたとたん軽いめまいが私を襲った…。
そう、私がそこへ着いたのは決して早いほうではなかったから…。
それどころか会場はすでに興奮のるつぼと化していた…。
古本、 おもちゃ、フリーマ-ケットの品々…。
すでに整然と並べられて今や遅しと開場を待っている人々とともに。
始まる前に私は、先にどんなものがあるのか見てもいいですよ、という甘い誘惑(?)に耐えかねて
ざっと見て回ったもののどれもこれも興味深く、フリマなどは力作揃いでいちいち立ち止まっていたら
始まってしまうと思い直し、さて私も頑張らねば、とエプロンのひもをぐっと締めて担当の場所に
もどらなければならないという始末。
さて「そろそろ初めてくださ~い。」との声がかかってからしばらくは、
何だ、さっきの人たちはお手伝いかフリマの人かなと思うくらいの人出だったはず…なのに
気がつくと私は満頭大汗、本と本の隙間につまさきを踏み入れつつ(何度もつりそうになった!)
何冊もの本を抱え上げ普段たるみっぱなしの二の腕の筋肉や子供を叱るときにしか使わない腹筋まで
フル活用していた。手慣れた小銭の計算もちゃくちゃくとこなし(合っているかどうかは別にして)
共に手伝いに来ているいつも見慣れた友人の顔もはるか忘却の彼方…!
そして…たかが2時間されどの2時間が過ぎ、気がつくと呼吸の乱れもすでに整っており…
しかし本は乱れに乱れており…。後片づけをしつつめぼしいものを見つける宝探しをしながら、
私は十何年も前に流行った映画のセリフを思い出した。
「カ・イ・カ・ン・!」 …これだから、やめられない。 林由佳

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